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2009年02月28日(土)更新

虎鯖物語・・その2

鯖と格闘1

虎鯖作り

厨房に入り鯖を見ては〆鯖にチャレンジしていますが、最初は〆る事の意味や
ゴマ鯖と真鯖の区別も知らないで調理をしていました。

どの鯖でもとりあえず〆鯖になるのだと信じていました。そんな時です、鯖を知り合いからもらった時のことです。小ぶりだが〆てみようと思い調理してたべたのです・・・

その夜のこと、無性に暑い、体が痒い、なんか体が変だ?起きてビックリです顔がまん丸に腫れあがり体全体がみみず腫れ状態です・・即病院です。

そうです、鯖に当たったのです、大当たりでした・・
ヒスタミンに当たったのです、
ヒスタミンはアレルギー物質で青魚には必ず含まれていて

鯖には特に多く入っています、鯖は青魚の中でも魚体が大きくヒスタミンの含有量が一番多い魚です。
このヒスタミンは温度の上昇で増加しますから、鮮度の保持と調理の工程を低い温度の中で調理して行くことを知りました。
それを知ったのは後からイナダと鯵でも当たり文献を調べて、当たらないようにするにはどうすればと調べたからです。生の鯖はとにかく早い調理を、冷凍の鯖も解凍後の処理を早くして室温や水の温度を上昇させない工夫をして調理してからは、青魚を食べても当たってはいません。

一度ヒスタミンに当たると体が反応しやすくなり、少量のヒスタミンでも当たります。
当たったら・・半年間は青魚を避けた方がいいでしょう!

※板長、母から「蕁麻疹には白桃がいいわよ」と聞いていました、当たった時は白桃の缶詰をバクバク食べます・・
蕁麻疹は引きませんが「痒み」は消えます・・体験談!

板長は現在、鯖を加工する際は水を分解してできる酸性水で消毒をしています。
酸性水は水を分解して精製された水なので体内に入っても当然問題はありません、アルコール消毒より安全です、厚生省からも消毒の効果は実証されています。

調理は低い温度で手早く、酸性水でよく殺菌をしてから行なっています。

板長・・何度ヒスタミンに当たったか・・数知れず
でも高校時代の「あの〆鯖」を作りたいの一心でした。宿泊される方は、「八戸の名物は?」との問いに

「虎鯖」が名物です・・と言いたかった・・


鯖と格闘2

虎鯖作り

味の確立は長い時間がかかりました
昔、友人宅で食べた〆鯖の味は・・刺身のようで酢の味が少し・・どうすれば?
塩をして、酢に漬ける・・これで〆鯖が出来る!やり方は間違ってはいません

そんな時車の中の、ラジオ番組の健康相談で梅の塩分について話がありました。

内容は、「おばあさんが、高血圧で塩分を控えめにと言われたが、好物の梅干ばかりを食べて・・・」「梅干しは体に良いのでは?しかし塩分が気になる」そんな相談でした。

回答は、「酸っぱい物は、塩分が多い程強く酸味を感じますから、梅の塩分が少ない物を選んで食べて下さい」との内容が返されました。

「そうか、塩分を多くすると酸味が強くなるんだー」これはヒントでしたねー
鯖のみそ造りにも共通するヒントになりました。
これで、酢を少なくする事をしりました、今まではどっぷり酢に漬け込んで製作していました。
塩を多目に酢は少なく・・・です。

ここで、塩と酢の関係を知る事が出来ました・・

鯖と格闘3

虎鯖作り

ヒスタミンを知り低温調理、塩と酢の関係味付けも・・でも、何かが違うのです。
味はただ酸っぱいだけです、高校生の思い出の味とは段違いに劣ります。

高校の時の〆鯖の味・・あれは漁師の息子だから鮮度が良いから「旨かった?」のか
仕入れの時は鮮度の良い鯖を買い求めても・・あの味にはなりません。

虎鯖作り

仕込みの工程に問題がある・・!
今、虎鯖はしっかりとした歯応えがあります、当時の鯖は仕込んでも「ネチャ」・・水っぽい。

板長・・ここに気が付いたのは「干し椎茸」がヒントになりました。
「干し椎茸」は天日に干すと味が出ます・・別物に変化します、ビタミンDを大量に含んで出汁も使えます。

「そうだよ・・鯖も味を凝縮しよう!」

ここがポイントでした・・今、「2段干し」は特許に申請中です。

味の確立は・・「干し」の工夫を何度か変える事で色々と見えてきました。
しかし・・太陽に当てたら鯖は腐ります、温度の上昇はヒスタミンが増殖します。

思考錯誤の末に・・ある工程を(ここは伝えられない・・秘技)
板長も〆鯖作り・・固定観念から脱却して・・初めて今の虎鯖作りに近づきました!

虎鯖作りは、板長の膨れた顔と同時進行で完成です・・作りの工程は特許の関係でお伝えできませんが
高校時代に食べた「あの〆鯖」が見えてきました!
日の出丸に乗って・・捕れたての鯖で・・「あの〆鯖」を去年味わいました!「旨かった!」日の出丸に感謝です。

この虎鯖は、「虎鯖 棒すし」にして、より味わいの出る料理へと変化しています。物産に行くと子供達が・・
「美味しい!」と言います、大人は固定観念で鯖を見ますが子供は正直に味を話します!

「虎鯖 棒すし」
(写真の「虎鯖 棒すし」は去年の秋、生鯖仕様の物です。)

「子供が食べる鯖作り・・でなければ!」

板長の技よりも・・やはり八戸の鯖無くしては・・あの味は出せません!これからも八戸の鯖の味を引き出した

『虎 鯖』を作り続けます・・ハイ



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2009年02月27日(金)更新

虎鯖物語・・その1

虎 鯖とは

板長の作る〆鯖を一昨年の10月までは「谷口板長の〆鯖刺し」の名で販売していましたが
「虎鯖」に変更しました。

ノルウェー産の鯖
写真はノルウェー産の鯖で、縞模様が綺麗に並びます
八戸産の真鯖
この写真の鯖は、去年八戸港に水揚げされた真鯖です背中の模様は唐草模様。
ゴマ鯖の模様
写真は、ゴマ鯖の模様で鯖に体に横に斑点が並び腹にも点々模様があります。

日本の鯖は背中の模様が唐草模様で、はっきりとした縦縞ではありません

それとは別に、ノルウェー産は綺麗な縦縞模様です、でも虎の模様には変わりありません。
八戸の秋はこの写真の真鯖やお腹に斑点模様がつくゴマ鯖が海を回遊して戻ってきます、これを秋サバの名で日本の文化として存在しています。

「虎鯖」は八戸では「まだ脂のない小物の鯖」「鮮度が落ちた鯖」で美味しくないと言う意味で昔は表現されていました。今では死語になりました。

でも私はあえてこの「虎鯖」の名を着けました。それは八戸に昔あった名称です、死語になった今は「美味しい八戸の鯖」の代名詞にしようと思ったからです。

私は「脂のない鯖」と聞いて育ちました、小さな時期の鯖はまだ背中の模様がはっきりしていて、大きくなるにつれ脂が乗るにつれて、背中の模様は散って薄くなります。
小さな虎鯖が大きくなって八戸に帰ってきたのだから、強い美味しい「虎鯖」の名を着けてあげたかった、その気持ちで着けました。

「虎鯖」の商標登録は完了していますので、今は板長が作る〆鯖を
『虎鯖』の名で呼んで販売しています。

(目指した〆鯖は、高校時代の思い出)

この話をするのには谷口板長の高校時代からのことを話さないと始まりません。
私は鯖が大好物で、特に〆鯖が好きです。

私の通っていた高校は、スポーツで有名でしたが勉強は・・・(^^;)。
バスケットボールがやりたくて入学した私は、厳しい練習を耐え抜かないと何のためにこの学校を選んだのか分からなくなると思い、必死でバスケに打ち込んでいました。

「ワル」ばかりでしたが、他では体験できないこともたくさんありました。昼休み、ストーブの上は、生いわし、スルメ、干しカレイを焼いて食べるのです、冬にはなんと!鍋が置かれて鱈汁がおかずになっていました。

そんな教室の光景は、今でも懐かしく思い出します。それも浜の漁師の息子が多かったからでしょう。いわしもいかもカレイも自分の家の物ではなく路地から頂だいしてきた代物です・・・。


仲の良い友達が八戸弁で・・(通訳付き)
「圭介、今日―ワーホーサッ、こねーど」訳す「圭介今日、俺の家に寄れないか」

「なんがようが」訳す「何か用事でも」

「ワーホーのオヤジが鯖バ釣ったズー、船で釣ったスケ、ウメエー」訳す
「俺のオヤジが船で沖に出て、鯖を釣り上げたから上物で美味しいぞー」

「ワガッタ、イグスケ」訳す「了解、行くから」

「ンデヨーフグロ持って来ネバーワガネエ」訳す「持たせるのに袋が必要だよ」

バスケの練習を終えて、友人宅へ
「あがれー圭介、腹ヘッタベーマンマバクッテゲー」訳す
「あがってご飯を食べて行きなさい」

友人の母が
「今まで、学校さイダノガ!ナーンモネンドモ、カーコレコレデケー」訳す
「今まで、学校にいたの、何もないけどこれでご飯を食べなさい」

出されたおかずはカレイ焼きと〆鯖でした。カレイは小ぶりの柳カレイで揚げてあり「せんべい」の食感でパリパリ・・骨も食べられました。

卓上に青と白と赤のコントラストが綺麗なお刺身が、〆鯖です、私には初物でしたし鯖には見えなかった。

「ウガサヨーケルッタ鯖はヨーコレダスケヨー」訳す
「お前に渡すと話した鯖はこれだよ」

「カッチャ・・コレシメダノダ?」訳す「お母さんこれは、〆たのか?」

「ンダドモ、酢はワンツカデー」訳す「酢につけた時間は少しだよー」
「酢さツケネーバ鯖はケーネンデー生臭くて」訳す「鯖は酢に漬けないと生臭くて食べられない」

友人とお母さんの話を聞きながら、遠慮なく食べます。
「醤油さつけて食べるのガー?」「オーウ」と友人が・・鯖を口に・・

『凄い旨い、とろける!なんだこの味と食感は、すごーい甘さが広がる!!これが鯖?口の中の広がりは脂・・』

もう34年前の話しになります。
板長・・今も「あの味」は忘れられません、あの味を再現したい。

虎鯖刺し
板前になり、鯖と格闘をして〆鯖作りを始めたのは30歳を過ぎてから
20代は鯖に向かう前にイカも満足に捌けなかつた日々

天ぷらの上げ方、野菜の切り方・・厨房で未熟な自分を見つめてました!

包丁を持つことに少しの自信が着いた30越え・・鯖との格闘です。
鯖のみそ煮は、ぶつ切りで良かったから・・

明日は・・また続きを書きます。



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2009年02月26日(木)更新

鯖のみそ煮の物語・・・その3

八助梅は、旧名川町下名川で
サクランボの収穫が多い土地で育てられています
「達者村梅プロジェクト」の美女軍団が

達者村梅プロジェクトの皆さん

八助梅を作るプロ集団です。
前会長の川門前さん、会った当初は・・こう話してくださいました。

「梅、特に豊後梅は手をかけなくても沢山育ちます、その分安価で
手間代にもなりません!しかし外国産は添加物・保存料だらけ
おにぎり・・にして子供が持って行く時には私は不安です。」

「温かいご飯で・・添加物を包んでお昼まで置く・・
それを子供達が食べるんです・・私は嫌です!!」

板長も思います、色が良ければ・・保存がきけば・・でいいのか?

川門前さんも梅作りには苦労されたみたいです
「カビが生えるのよー・・塩分もさることながら
干し方が悪いと美味しくないのよ・・干しの手を抜くとカビの原因で
梅干し・・と言われるのは、干しが大切だから!」

何度も失敗した話を聞きました・・
「仲間達の中にも、上手な人下手な人がいます。下手な人は、干しで手を抜くから!」

八助梅でも、添加物や保存料を入れて作る会社もありますが
板長は、この人川門前さんからのみの購入です!

森田味噌・・
この味噌の凄さは・・別物です!奥さんは言います
この店の「麹」は先代が残した宝物、その麹を今のご主人が脱サラをして守っています。

板長「樽で持って行ったら・・暗い涼しい所に置くのでしょう?」

奥さん「この味噌は、どこでもいいですよーでも温かい所の方が熟成するから!」

今時の味噌で温かい所で熟成させる味噌はありません
1年8ヶ月で食べられ・・3年物は味がマイルドです

田舎味噌独特の臭いはしません、煮干や花鰹の邪魔もしません・・・前には出ない

鯖のみそ造り

「麹」の強さは森田味噌の原点・・保存料を使わないで
常温保存が出来る・・味噌の話をすると何時間でも・・と


「こだわり」の八助梅と森田味噌・・その2つの力で
板長の「鯖のみそ煮」が出来ます・・



※ どうして谷口板長の鯖の味噌煮ができるまでに、3日間もかかるのだろうか?


煮る事により、骨が柔らかくなり鯖を丸ごと食べられる。

しかしやたらと煮込めばいいと言うものでもありません。この鯖の味噌煮を作るために3日間も手間暇を掛けるには、他にも色々な理由があるのです。

まず鯖を捌いて適当な大きさに切り、広い口の大鍋であの野菜と生姜、酒で6~8時間煮込みます、
小さな鯖の場合は切り身も小さいので6時間程で骨まで柔らかくなますが、大きな鯖ですと8時間以上煮込まないといけません。

  この煮込みでは何度もアクを取る作業が必要になります。チョットでも目を離すとアクが溜まり過ぎて味落ちします。
こうしてアクを取り続けていると昔の人は本当に丁寧に料理を作っていたのだと、つくづく思い知らされます。

この工程が済んだら、一晩寝かせて冷やします、ここまでだいたい1日が過ぎます。
  
  翌日温度が下がった頃合を見計らって、鯖の汁に味噌と砂糖を加えて鯖に味を付ける工程に入ります。

鍋に火をつけて煮詰めていきますが、ここがとても大切で全神経を集中させて頃合を見極めます、
(最近の見極めは・・サチコが担当・・板長はバラ付く・・と)

鯖のみそ造り

火加減一つで煮汁が苦くなり煮過ぎて味が別物になります。火加減と味加減、この2つを常に確認していきます。
ここが昔、母が愛情込めてコトコトと煮ていた時と同じ状態なのですね。

火加減の失敗は何度も体験・・鯖が崩れ落ち・・鍋が焦げ・・

料理に愛情を込めるというのは、気持ちだけの問題なのではなく、やはりこういう手間をかけることを言うのでしょうね。

  鯖を煮あげるまでの時間は、その日の湿度が関係してきます。2時間程で煮上がる時もあれば、3時間以上かかる日もあります。季節によって、その日の天気によって全く違うのです、不思議な物ですがそうなのです。

正直言いますとあの野菜と出会うまでは化学調味料を入れていました、どうしても味を安定させようと思い・・苦肉の策でしたが・・そうだったのです。

鯖のみそ造り

  しかし、今はそれを使わなくても済むようになったのです、それだけあの野菜には奥の深さがあるのですね、化学調味料は魚の旨みも消してしまいます料理の基本の素材の旨みを殺してしまい。「味に蓋をして調味料のあじを味わう」ことになってしまいます。
  
  さて。煮詰まって煮汁に適当なトロミが出たら火を止め、また一晩寝かして鯖に味を染み込ませます。これで3日間が、あっという間に過ぎてしまいます。

  味噌が少ないと鯖の臭みが消えません。甘さがないと鯖の旨みが引き出せません。トロミがないと鯖に味噌が絡みません。そんな事を呪文のように唱えながら28年かけて現在の鯖の味噌煮が完成しました。

  最近よく耳にする「食育」その考え方からも、青魚を骨ごと食べられ、しかも魚嫌いのお子さんにも喜んで食べていただける私の鯖の味噌煮は最適の品だと板長自身が思います。

またお年寄りの方にも喜ばれる料理として好評を戴いております。そればかりではなく酒の肴として、のんべーの皆様にもファンが増えてきました。

  最近は、一度注文をしていただいたお客様から「子供にまた食べたいと言うので」と繰り返し購入していただけるようになりました。

  また、祖父母に食べさせたいと毎月買ってくださるお客様もいらっしゃいます。
真空で冷凍しておりますので、チョット手抜きをしたいなーと思った時に姑さんやお子さんのおかずとしても調法していますと主婦の方からも話されます。

鯖のみそ造り
(写真は加熱しないで袋を開けたままの状態です、常温の方が味噌が絡みます)

板長・・鯖料理の原点は
「子供の頃に食べた、母の鯖のみそ煮」です、「子供に・・」は板長の理念になりました

そしてこの製法を特許に申請しました、八戸の味に定着させたいから

昭和の時代・・八戸の家庭ではどのような食べ物があつたのかは・・子供の板長は?

しかし、大量に八戸港に水揚げされた鯖は八戸の文化です
あの母味を再現出来た!数々の出会いに感謝です♪

明日は・・虎鯖の物語を書きます・・ハイ



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2009年02月25日(水)更新

鯖のみそ煮の物語・・その2

4年前の5月・・相模君と亀田師範と
水産会館の会議場でネットを使って品物を売る

その勉強会の席で・・亀田師範は
「商品のこだわりを20枚レポート用紙に次回まで書いて!」と

20枚・・書けるか?今でも思い出します
板長、「自信のある品なら書けるはず!」

次の物語では森田味噌店が出て来ますが・・その時はまだ
あの味噌とは出会っていませんでしたが、

18枚ほどレポート用紙に書いた覚えがあります
必死でしたねー・・今でもあの勉強会は「宝物」



※ 挫折を乗り越えた あるヒント


鯖のみそ造り

すっかり鯖のみそ煮のことなど頭から出て行き、すっかり忘れた気持ちで過ごしていたある日、ふとテレビの料理番組を見ていたら、ある野菜の特集を放送していました。

なにげに見ていたその時、急にひらめいたのです。答えが分かったのです。
『この野菜と鯖を一緒に煮込めば、出来る!』そう確信しました。煮込めば煮込むほど味に深みの出る野菜。
しかもほのかな酸味があり、これが最後の魚の臭みを取り除いてくれる
・・・・頭の中で何かが弾けました。

固定観念・・概念・・頭の中は、そればかりで壁が出来ていました。板長は短い修行しかしていません、修行が長い人ほどこの壁は破れないものです。
この料理は、こうして作る!決まりごとの作業の繰り返し
でも、そこには自分自身のこだわりは無いのです。

通常は鯖のみそ煮で匂いを消すために使うのは、梅干です。
そして梅干を大量に入れれば確かに臭みは消えますが。塩味が濃くなり過ぎてしまいます。
生姜は大量に入れると生姜の匂いが強くなりすぎて、鯖のみそ煮ではなく生姜煮になってしまいます。
しかしこの野菜だったら大丈夫です。梅干、生姜、そしてこの野菜の三位一体が私の求めていた
「鯖のみそ煮を完成させる・・そう確信しました。」

それからまた鯖のみそ煮作りが始まりました。5年間のブランクがありましたが、今度は絶対に出来ると自信を持って鯖のみそ煮に取り組みました。

思った通りでした。この野菜を使って煮込む・・正解だったのです。人工甘味料を使わずに最後の生臭みを取り除いたのです。
この時こそ料理の面白さを実感したことはありませんでした。

しかし・・ここからがまた失敗の連続だったのです。95%は自分の理想としている
鯖のみそ煮は完成したのですが、もうちょっと・・・そうですもうチョットなのです。
それは自分の心の中にだけ収めておいて、鯖のみそ煮をメニューに載せました。
想像通り大好評をいただきました。それはとても嬉しいことでした、しかしどこかで引っかかっていました、
心の何処かになにか納得できないものがあったのです。

市販の梅は、添加物だらけ保存料・・そして外国の梅なのです。塩分も18%だと塩が強すぎます。
6%の塩分表示の物は横文字の添加物保存料だらけ・・ここまで無添加に仕上げたのに・・梅で悩む日々!

添加物は長い時間、煮込むと特有の臭みに変化します、梅だけを食べるにはいいのでしょうが・・煮込みには不向きです。

この時期は梅を使わないで「酢」を使ったり、母の作った梅を使ったり(量が少なく一時的にしか・・)出来る限り
添加物が書かれてない梅を探して使いました・・

だから、味は一定していませんでしたねー!

それが10年前です。


八助梅

※ 八助梅との出会いで鯖の味噌煮がほぼ完成しました・・そして森田味噌で


それから3年後、「八助梅」と出会いました。母が友人からいただいたとその梅を見せてくれたのです。
お恥ずかしい限りですが、地元の南部町で取れるこの「八助梅」を知らなかったのです、
灯台下暗しですねー実が大きくてカパッと割れてしっかりとした硬さのこの梅。
この「八助梅」がキーでした・・ほぼ完成です!

この「ほぼ」完成は去年平成18年のことです、今年平成19年の夏ついに最後のキーを見つけました、
それは味噌です。三戸郡の名川町今の南部町でいつも八助梅を購入するときに通る道沿いにそのお味噌屋さんがあったのです。

八助梅

名川町役場の前に信号があります、停まると目に「森田味噌」の看板が見えていました。
看板には「味噌」「麹」の字が書かれています「変だな?」醤油の文字が無いのです、
普通は味噌と醤油はセットになるはずです、と言うことは「味噌専門店」なのかな?
よし買って鯖の味噌煮に一度使ってみよう!そう思い店内に入りました。

森田味噌店

古い看板で昔の風情が残る店構えですが、中は綺麗に掃除がされていて
可愛い置物が並んで入った人を和ませるような雰囲気です、
奥から女将さんが出てきて優しく対応してくれました。

森田味噌店
(この味噌は、1年と2ヶ月物まだ未完成・・本物は3年!)

「私達で3代目、森田の味噌と麹を昔ながらの製法で作り続けています、この家の菌で出来る麹で仕上げる味噌を頑固に守っています。大豆は地元の農家と契約栽培、水は地下水を使っています。」

醤油のことを聞くと「内は味噌の専門店ですから、醤油は味噌を作るときに出る溜まり醤油が僅かに取れるだけなのです。」

また近くにいてこんなに「こだわって」味噌を作っている人がいたことを・・
早速購入して鯖の味噌煮を製作です。今年の秋に「ほぼ」が取れて鯖の味噌煮が完成しました。

現在私はその味をもっともっと美味しくしようと日々格闘しています。八戸の鯖、あの野菜、八助梅、森田味噌、そして砂糖との勝負を続けています。


今私が作る鯖の味噌煮は、現在私が心の底から納得して自信を持ってお勧めできるものです。
絶対どこの鯖の味噌煮にも負けない鯖の味噌煮です。

そうです『魚嫌いのお子さんも、美味しい!!と骨ごと食べられることができる鯖の味噌煮』なのです。

手間のかかるのは・・・?



※ どうして谷口板長の鯖の味噌煮ができるまでに、3日間もかかるのだろうか?


≫≫明日に続く!



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2009年02月24日(火)更新

鯖のみそ煮の物語・・・その1

昨夜は、岩手県の「かわとくデパート」の方と商談

6月に盛岡での物産に出展の可能性が・・・

「鯖」は4年前とは違い毎日仕込みをしています
前は、週に1度で良かったのに・・今思うとこんなにも!

その「鯖作り」発信の原点はシーフードシティー研究場
相模君との出会いから!「鯖作り」を文章にしてみよう

相模君との出会いは4年前の5月、亀田師範とも同じ日の出会いです
物産や三春屋に出展するまでになりました・・

その原点の物語を今日から書きます
板長の鯖作りは「鯖のみそ煮」からでした・・・

八戸の鯖

『鯖のみそ造り』

谷口板長の鯖のみそ造り(鯖の味噌)は試行錯誤を繰り返して、遂に完成しました。

化学調味料や防腐材を使わないで3日間手間暇掛けて煮込んで完成する鯖の味噌煮、

 昔、谷口板長がお母さんに作ってもらった、そのときの味を再現した物なのです。

地元のこだわりの梅と味噌を使って、谷口板長のこだわりをお話します。


※ 思い出の味を再現したい。

私は今年、平成21年で52才になります。ホテルの板前を張って29年、
毎日お泊りくださるお客様に喜んでいただける食事を作らせていただいています。
せっかく八戸まで来てくださった皆様に、地元の食材を使った料理を
食べていただきたい。そんな気持ちで毎日板場を仕切っています。

八戸の海産物はご存知のように、さば、いか、いわしなどが豊富で有名ですが、
その一方で種類が少ないのが欠点でもあります。
ですから素材は最高にいいのですが、どうしても料理の献立が限られてしまいます。
地元の限られた食材でなんとかお客様に喜んで貰える料理はないだろうか?
日々そんな事を考えていました。

そんなある日、ふと子供の頃に食べた鯖のみそ煮を思い出したのです。

私が子供の頃に食べた鯖のみそ煮は甘辛く、ご飯のおかずに最適でした。
焼き魚のように骨を取る必要の無い、骨ごと食べられる鯖のみそ煮は
子供にも食べやすく、しかもその甘辛さがご飯にとても合うので大好きだったのです。

夕方まで遊んでお腹を空かして帰ってくる道すがら、家の方からかすかに
鯖のみそ煮の香りが漂ってくると、夢中で走って帰ったものでした。
あのころの鯖のみそ煮を思い出した私はその味を忘れられずにいた私は
早々板場で作ってみました。たしかに新鮮な地元の鯖を使って作る鯖のみそ煮は
美味しくできました。しかし、あの、あの子供の頃に夢中になった

母の味ではありませんでした。

※目指すのは
  「魚嫌いな子供も、美味しい!と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る
鯖のみそ煮」だったが・・・・
  昔の味を早々母に作り方を聞きに行きました。
  しかし昔と今とでは時代が違いました。当時は石炭、薪ストーブ、七輪などで
調理をしていました。冷蔵庫、冷凍庫の無い時代ですから安かった鯖を
大量に買い、そんな昔ながらの調理器具の上に鍋をかけて時間をかけ、
コトコト煮て作っていたのです。
骨まで柔らかく煮えるくらい時間をかけて作っていたのです。

  そうです、その日に購入してその日に仕入れた鯖を煮て、
その日に出すような時間の掛け方とは全く違っていたのです。
これはとても凄いヒントになりました。時間をかけて、手間暇惜しまず作る・・
まずそれを基本にすることに決めました。

  家庭で圧力鍋を使って鯖のみそ煮を作られる方もいらっしゃいますが、
それは家庭料理として何の問題もありません、骨まで柔らかくできますのでお子様にはいいでしょう。

  しかし、板前の私にとっては、それでは失格なのです。
圧力鍋を使うとどうしても鯖の旨さが鯖から抜けてしまいます。圧力がかかると、
鯖の脂肪分が身から全て出てしまうのです。
  時間をかけて煮ることによって、鯖の身の中の旨みはそのままで骨まで
柔らかい鯖のみそ煮ができるようになりました。
  
  そこにもう一つの問題が出てきました。鯖のみそ煮の甘味料の問題です。
昔は砂糖が高額で贅沢品だったため、チクロ等の甘味料など
今では使用できない人工甘味料を使って鯖のみそ煮を作っていたのです。

  これには困果ててしまいました。どんなに高級な砂糖や味醂を加えて
鯖のみそ煮を作っても昔の母の味には近づかないのです。
確かに上品な甘味にはなるのですが、鯖の臭みが残ってしまいます。

  普通は梅干しと生姜を入れることで鯖のみそ煮の魚臭さを消します。
どんな料理の本を読んでも、どんな料理名人に聞いても、この2つの食材で
「鯖の匂いが消えます」と話すでしょう。しかしそれだけでは不十分なのです。
昔母が作ってくれたあの鯖のみそ煮の味、あれは梅干と生姜では取りきれない
魚臭さまで取り除いてあったのです。

  皮肉なことにあの人工甘味料が、この「魚の生臭さ」まで取り除いてくれていたのでしょう。

鯖のみそ煮 

   私が目指したのは『魚嫌いなお子さんでも、美味しい!!
と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る鯖のみそ煮』なのです。
しかし昔使っていた人工甘味料無しでは・・・
どうしても『魚嫌いのお子さんでも』がクリアーできない。梅干と生姜だけでは、
魚嫌いのお子さんには食べてもらえないのです。
  魚好きのお客様には
「こんなに柔らかくて美味しい鯖のみそ煮は初めて食べた」と好評でした。

  その時点で商品化しても、それなりに売れる自信はありました。
でも私の一番のこだわりは、『魚嫌いのお子さんでも・・』と言うところだったのです。

  料理を生業にしていると、当然食べ物に関して色々な相談を受けます。
そしてその相談の多くは「子供が魚嫌いで困る。特に青魚は体にも
脳にもいいので食べさせたいが。どうしても魚臭くて受け付けてくれない。
それに骨があると輪をかけて嫌がる。どうしたらいいだろうか?」と言うものでした・・

  家庭で作る鯖のみそ煮も、市販されている鯖のみそ煮も、
鯖の臭みが僅かに残っています。魚好きの大人はそんな匂いにそそられるのですが、
魚嫌いのお子さんには物凄く抵抗のある味と匂いになってしまうのです。

  どうしたら人工甘味料を使わずに、昔のような魚の臭みの無い鯖のみそ煮を
作ることが出来るのだろうか?それを考える日々が続きました。

  毎日八戸で水揚げされる新鮮な真サバを買ってはコトコト煮て、味を見て、
これは違う・・、お客様には提供しないでまかないに廻す日々がつづきました。
   しかしその内に、諦めの気持ちが強くなり、次第に鯖のみそ煮を作ることが
少なくなり気が付けば5年間全く鯖のみそ煮を作ることから
遠ざかってしまったのです。

鯖のみそ煮の物語
  
  どうしても諦めきれない、しかし出来ない、作れない・・・
この葛藤から遁れるために鯖のみそ煮を作ることを辞めてしまったのです。
  

明日は※ 挫折を乗り越えた あるヒント ・・に>>続く・・・


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