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2008年03月25日(火)更新
鯖の味噌煮の物語
今日と明日は、
鯖のみそ造りの物語を
谷口板長の鯖のみそ造り(鯖みそ)は試行錯誤を繰り返して、遂に完成しました。
化学調味料や防腐材を使わないで3日間手間暇掛けて煮込んで完成する
鯖の味噌煮の話しです。
昔、谷口板長がお母さんに作ってもらった、そのときの味を再現した物なのです。
地元のこだわりの梅と味噌を使って、谷口板長のこだわりをお話します。
※ 思い出の味を再現したい。
私は今年、平成19年で51才になります。ホテルの板前を張って26年、毎日お泊りくださるお客様に喜んでいただける食事を作らせていただいています。
せっかく八戸まで来てくださった皆様に、地元の食材を使った料理を食べていただきたい。そんな気持ちで毎日板場を仕切っています。
八戸の海産物はご存知のように、さば、いか、いわしなどが豊富で有名ですが、その一方で種類が少ないのが欠点でもあります。ですから素材は最高にいいのですが、どうしても料理の献立が限られてしまいます。地元の限られた食材でなんとかお客様に喜んで貰える料理はないだろうか?日々そんな事を考えていました。
そんなある日、ふと子供の頃に食べた鯖のみそ煮を思い出したのです。
私が子供の頃に食べた鯖のみそ煮は甘辛く、ご飯のおかずに最適でした。
焼き魚のように骨を取る必要の無い、骨ごと食べられる鯖のみそ煮は子供にも食べやすく、しかもその甘辛さがご飯にとても合うので大好きだったのです。
夕方まで遊んでお腹を空かして帰ってくる道すがら、家の方からかすかに鯖のみそ煮の香りが漂ってくると、夢中で走って帰ったものでした。
あのころの鯖のみそ煮を思い出した私はその味を忘れられずにいた私は早々板場で作ってみました。たしかに新鮮な地元の鯖を使って作る鯖のみそ煮は美味しくできました。しかし、あの、あの子供の頃に夢中になった母の味ではありませんでした。
※ 目指すのは
「魚嫌いな子供も、美味しい!と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る鯖のみそ煮」だったが・・・・
昔の味を早々母に作り方を聞きに行きました。
しかし昔と今とでは時代が違いました。当時は石炭、薪ストーブ、七輪などで調理をしていました。冷蔵庫、冷凍庫の無い時代ですから安かった鯖を大量に買い、そんな昔ながらの調理器具の上に鍋をかけて時間をかけ、コトコト煮て作っていたのです。骨まで柔らかく煮えるくらい時間をかけて作っていたのです。
そうです、その日に購入してその日に仕入れた鯖を煮て、その日に出すような時間の掛け方とは全く違っていたのです。これはとても凄いヒントになりました。時間をかけて、手間暇惜しまず作る・・まずそれを基本にすることに決めました。
家庭で圧力鍋を使って鯖のみそ煮を作られる方もいらっしゃいますが、それは家庭料理として何の問題もありません、骨まで柔らかくできますのでお子様にはいいでしょう。
しかし、板前の私にとっては、それでは失格なのです。圧力鍋を使うとどうしても鯖の旨さが鯖から抜けてしまいます。圧力がかかると、鯖の脂肪分が身から全て出てしまうのです。
時間をかけて煮ることによって、鯖の身の中の旨みはそのままで骨まで柔らかい鯖のみそ煮ができるようになりました。
そこにもう一つの問題が出てきました。鯖のみそ煮の甘味料の問題です。昔は砂糖が高額で贅沢品だったため、チクロ等の甘味料など今では使用できない人工甘味料を使って鯖のみそ煮を作っていたのです。
これには困果ててしまいました。どんなに高級な砂糖や味醂を加えて鯖のみそ煮を作っても昔の母の味には近づかないのです。確かに上品な甘味にはなるのですが、鯖の臭みが残ってしまいます。
普通は梅干しと生姜を入れることで鯖のみそ煮の魚臭さを消します。どんな料理の本を読んでも、どんな料理名人に聞いても、この2つの食材で「鯖の匂いが消えます」と話すでしょう。しかしそれだけでは不十分なのです。昔母が作ってくれたあの鯖のみそ煮の味、あれは梅干と生姜では取りきれない魚臭さまで取り除いてあったのです。
皮肉なことにあの人工甘味料が、この「魚の生臭さ」まで取り除いてくれていたのでしょう。
私が目指したのは『魚嫌いなお子さんでも、美味しい!!と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る鯖のみそ煮』なのです。しかし昔使っていた人工甘味料無しではどうしても『魚嫌いのお子さんでも』がクリアーできない。梅干と生姜だけでは、魚嫌いのお子さんには食べてもらえないのです。
魚好きのお客様には「こんなに柔らかくて美味しい鯖のみそ煮は初めて食べた」と好評でした。
その時点で商品化しても、それなりに売れる自信はありました。でも私の一番のこだわりは、『魚嫌いのお子さんでも・・』と言うところだったのです。
料理を生業にしていると、当然食べ物に関して色々な相談を受けます。そしてその相談の多くは「子供が魚嫌いで困る。特に青魚は体にも脳にもいいので食べさせたいが。どうしても魚臭くて受け付けてくれない。それに骨があると輪をかけて嫌がる。どうしたらいいだろうか?」と言うものでした・・
家庭で作る鯖のみそ煮も、市販されている鯖のみそ煮も、鯖の臭みが僅かに残っています。魚好きの大人はそんな匂いにそそられるのですが、魚嫌いのお子さんには物凄く抵抗のある味と匂いになってしまうのです。
どうしたら人工甘味料を使わずに、昔のような魚の臭みの無い鯖のみそ煮を作ることが出来るのだろうか?それを考える日々が続きました。
毎日八戸で水揚げされる新鮮な真サバを買ってはコトコト煮て、味を見て、これは違う・・、お客様には提供しないでまかないに廻す日々がつづきました。
しかしその内に、諦めの気持ちが強くなり、次第に鯖のみそ煮を作ることが少なくなり気が付けば5年間全く鯖のみそ煮を作ることから遠ざかってしまったのです。
どうしても諦めきれない、しかし出来ない、作れない・・・この葛藤から遁れるために鯖のみそ煮を作ることを辞めてしまったのです。
※ 挫折を乗り越えた あるヒント
すっかり鯖のみそ煮のことなど頭から出て行き、すっかり忘れた気持ちで過ごしていたある日、ふとテレビの料理番組を見ていたら、ある野菜の特集を放送していました。なにげに見ていたその時、急にひらめいたのです。答えが分かったのです『この野菜と鯖を一緒に煮込めば、出来る!』そう確信しました。煮込めば煮込むほど味に深みの出る野菜。しかもほのかな酸味があり、これが最後の魚の臭みを取り除いてくれる・・・・頭の中で何かが弾けました。
通常は鯖のみそ煮で匂いを消すために使うのは、梅干です。そして梅干を大量に入れれば確かに臭みは消えますが。塩味が濃くなり過ぎてしまいます。
生姜は大量に入れると生姜の匂いが強くなりすぎて、鯖のみそ煮ではなく生姜煮になってしまいます。しかしこの野菜だったら大丈夫です。梅干、生姜、そしてこの野菜の三位一体が私の求めていた鯖のみそ煮を完成させる・・そう確信しました。
それからまた鯖のみそ煮作りが始まりました。5年間のブランクがありましたが、今度は絶対に出来ると自信を持って鯖のみそ煮に取り組みました。
思った通りでした。この野菜を使って煮込む・・正解だったのです。人工甘味料を使わずに最後の生臭みを取り除いたのです。この時こそ料理の面白さを実感したことはありませんでした。
しかし・・ここからがまた失敗の連続だったのです。95%は自分の理想としている鯖のみそ煮は完成したのですが、もうちょっと・・・そうですもうチョットなのです。
それは自分の心の中にだけ収めておいて、鯖のみそ煮をメニューに載せました。想像通り大好評をいただきました。それはとても嬉しいことでした、しかしどこかで引っかかっていました、心の何処かになにか納得できないものがあったのです。
それが8年前です。
八戸ニューシティホテル
谷口板長の 虎鯖 鯖のみそ造り の通販はこちらから
八食センター オンライン ショッピング おあがりやんせ はちのへ
まごころ ふるさと便
ご贈答に・・特に「お年寄り・・お子様のいるご家庭に」手間要らず!
八食センター メルマガ購読はこちらから
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昔、谷口板長がお母さんに作ってもらった、そのときの味を再現した物なのです。
地元のこだわりの梅と味噌を使って、谷口板長のこだわりをお話します。
※ 思い出の味を再現したい。
私は今年、平成19年で51才になります。ホテルの板前を張って26年、毎日お泊りくださるお客様に喜んでいただける食事を作らせていただいています。
せっかく八戸まで来てくださった皆様に、地元の食材を使った料理を食べていただきたい。そんな気持ちで毎日板場を仕切っています。
八戸の海産物はご存知のように、さば、いか、いわしなどが豊富で有名ですが、その一方で種類が少ないのが欠点でもあります。ですから素材は最高にいいのですが、どうしても料理の献立が限られてしまいます。地元の限られた食材でなんとかお客様に喜んで貰える料理はないだろうか?日々そんな事を考えていました。
そんなある日、ふと子供の頃に食べた鯖のみそ煮を思い出したのです。
私が子供の頃に食べた鯖のみそ煮は甘辛く、ご飯のおかずに最適でした。
焼き魚のように骨を取る必要の無い、骨ごと食べられる鯖のみそ煮は子供にも食べやすく、しかもその甘辛さがご飯にとても合うので大好きだったのです。
夕方まで遊んでお腹を空かして帰ってくる道すがら、家の方からかすかに鯖のみそ煮の香りが漂ってくると、夢中で走って帰ったものでした。
あのころの鯖のみそ煮を思い出した私はその味を忘れられずにいた私は早々板場で作ってみました。たしかに新鮮な地元の鯖を使って作る鯖のみそ煮は美味しくできました。しかし、あの、あの子供の頃に夢中になった母の味ではありませんでした。
※ 目指すのは
「魚嫌いな子供も、美味しい!と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る鯖のみそ煮」だったが・・・・
昔の味を早々母に作り方を聞きに行きました。
しかし昔と今とでは時代が違いました。当時は石炭、薪ストーブ、七輪などで調理をしていました。冷蔵庫、冷凍庫の無い時代ですから安かった鯖を大量に買い、そんな昔ながらの調理器具の上に鍋をかけて時間をかけ、コトコト煮て作っていたのです。骨まで柔らかく煮えるくらい時間をかけて作っていたのです。
そうです、その日に購入してその日に仕入れた鯖を煮て、その日に出すような時間の掛け方とは全く違っていたのです。これはとても凄いヒントになりました。時間をかけて、手間暇惜しまず作る・・まずそれを基本にすることに決めました。
家庭で圧力鍋を使って鯖のみそ煮を作られる方もいらっしゃいますが、それは家庭料理として何の問題もありません、骨まで柔らかくできますのでお子様にはいいでしょう。
しかし、板前の私にとっては、それでは失格なのです。圧力鍋を使うとどうしても鯖の旨さが鯖から抜けてしまいます。圧力がかかると、鯖の脂肪分が身から全て出てしまうのです。
時間をかけて煮ることによって、鯖の身の中の旨みはそのままで骨まで柔らかい鯖のみそ煮ができるようになりました。
そこにもう一つの問題が出てきました。鯖のみそ煮の甘味料の問題です。昔は砂糖が高額で贅沢品だったため、チクロ等の甘味料など今では使用できない人工甘味料を使って鯖のみそ煮を作っていたのです。
これには困果ててしまいました。どんなに高級な砂糖や味醂を加えて鯖のみそ煮を作っても昔の母の味には近づかないのです。確かに上品な甘味にはなるのですが、鯖の臭みが残ってしまいます。
普通は梅干しと生姜を入れることで鯖のみそ煮の魚臭さを消します。どんな料理の本を読んでも、どんな料理名人に聞いても、この2つの食材で「鯖の匂いが消えます」と話すでしょう。しかしそれだけでは不十分なのです。昔母が作ってくれたあの鯖のみそ煮の味、あれは梅干と生姜では取りきれない魚臭さまで取り除いてあったのです。
皮肉なことにあの人工甘味料が、この「魚の生臭さ」まで取り除いてくれていたのでしょう。
私が目指したのは『魚嫌いなお子さんでも、美味しい!!と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る鯖のみそ煮』なのです。しかし昔使っていた人工甘味料無しではどうしても『魚嫌いのお子さんでも』がクリアーできない。梅干と生姜だけでは、魚嫌いのお子さんには食べてもらえないのです。
魚好きのお客様には「こんなに柔らかくて美味しい鯖のみそ煮は初めて食べた」と好評でした。
その時点で商品化しても、それなりに売れる自信はありました。でも私の一番のこだわりは、『魚嫌いのお子さんでも・・』と言うところだったのです。
料理を生業にしていると、当然食べ物に関して色々な相談を受けます。そしてその相談の多くは「子供が魚嫌いで困る。特に青魚は体にも脳にもいいので食べさせたいが。どうしても魚臭くて受け付けてくれない。それに骨があると輪をかけて嫌がる。どうしたらいいだろうか?」と言うものでした・・
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しかしその内に、諦めの気持ちが強くなり、次第に鯖のみそ煮を作ることが少なくなり気が付けば5年間全く鯖のみそ煮を作ることから遠ざかってしまったのです。
どうしても諦めきれない、しかし出来ない、作れない・・・この葛藤から遁れるために鯖のみそ煮を作ることを辞めてしまったのです。
※ 挫折を乗り越えた あるヒント
すっかり鯖のみそ煮のことなど頭から出て行き、すっかり忘れた気持ちで過ごしていたある日、ふとテレビの料理番組を見ていたら、ある野菜の特集を放送していました。なにげに見ていたその時、急にひらめいたのです。答えが分かったのです『この野菜と鯖を一緒に煮込めば、出来る!』そう確信しました。煮込めば煮込むほど味に深みの出る野菜。しかもほのかな酸味があり、これが最後の魚の臭みを取り除いてくれる・・・・頭の中で何かが弾けました。
通常は鯖のみそ煮で匂いを消すために使うのは、梅干です。そして梅干を大量に入れれば確かに臭みは消えますが。塩味が濃くなり過ぎてしまいます。
生姜は大量に入れると生姜の匂いが強くなりすぎて、鯖のみそ煮ではなく生姜煮になってしまいます。しかしこの野菜だったら大丈夫です。梅干、生姜、そしてこの野菜の三位一体が私の求めていた鯖のみそ煮を完成させる・・そう確信しました。
それからまた鯖のみそ煮作りが始まりました。5年間のブランクがありましたが、今度は絶対に出来ると自信を持って鯖のみそ煮に取り組みました。
思った通りでした。この野菜を使って煮込む・・正解だったのです。人工甘味料を使わずに最後の生臭みを取り除いたのです。この時こそ料理の面白さを実感したことはありませんでした。
しかし・・ここからがまた失敗の連続だったのです。95%は自分の理想としている鯖のみそ煮は完成したのですが、もうちょっと・・・そうですもうチョットなのです。
それは自分の心の中にだけ収めておいて、鯖のみそ煮をメニューに載せました。想像通り大好評をいただきました。それはとても嬉しいことでした、しかしどこかで引っかかっていました、心の何処かになにか納得できないものがあったのです。
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