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2009年02月24日(火)更新

鯖のみそ煮の物語・・・その1

昨夜は、岩手県の「かわとくデパート」の方と商談

6月に盛岡での物産に出展の可能性が・・・

「鯖」は4年前とは違い毎日仕込みをしています
前は、週に1度で良かったのに・・今思うとこんなにも!

その「鯖作り」発信の原点はシーフードシティー研究場
相模君との出会いから!「鯖作り」を文章にしてみよう

相模君との出会いは4年前の5月、亀田師範とも同じ日の出会いです
物産や三春屋に出展するまでになりました・・

その原点の物語を今日から書きます
板長の鯖作りは「鯖のみそ煮」からでした・・・

八戸の鯖

『鯖のみそ造り』

谷口板長の鯖のみそ造り(鯖の味噌)は試行錯誤を繰り返して、遂に完成しました。

化学調味料や防腐材を使わないで3日間手間暇掛けて煮込んで完成する鯖の味噌煮、

 昔、谷口板長がお母さんに作ってもらった、そのときの味を再現した物なのです。

地元のこだわりの梅と味噌を使って、谷口板長のこだわりをお話します。


※ 思い出の味を再現したい。

私は今年、平成21年で52才になります。ホテルの板前を張って29年、
毎日お泊りくださるお客様に喜んでいただける食事を作らせていただいています。
せっかく八戸まで来てくださった皆様に、地元の食材を使った料理を
食べていただきたい。そんな気持ちで毎日板場を仕切っています。

八戸の海産物はご存知のように、さば、いか、いわしなどが豊富で有名ですが、
その一方で種類が少ないのが欠点でもあります。
ですから素材は最高にいいのですが、どうしても料理の献立が限られてしまいます。
地元の限られた食材でなんとかお客様に喜んで貰える料理はないだろうか?
日々そんな事を考えていました。

そんなある日、ふと子供の頃に食べた鯖のみそ煮を思い出したのです。

私が子供の頃に食べた鯖のみそ煮は甘辛く、ご飯のおかずに最適でした。
焼き魚のように骨を取る必要の無い、骨ごと食べられる鯖のみそ煮は
子供にも食べやすく、しかもその甘辛さがご飯にとても合うので大好きだったのです。

夕方まで遊んでお腹を空かして帰ってくる道すがら、家の方からかすかに
鯖のみそ煮の香りが漂ってくると、夢中で走って帰ったものでした。
あのころの鯖のみそ煮を思い出した私はその味を忘れられずにいた私は
早々板場で作ってみました。たしかに新鮮な地元の鯖を使って作る鯖のみそ煮は
美味しくできました。しかし、あの、あの子供の頃に夢中になった

母の味ではありませんでした。

※目指すのは
  「魚嫌いな子供も、美味しい!と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る
鯖のみそ煮」だったが・・・・
  昔の味を早々母に作り方を聞きに行きました。
  しかし昔と今とでは時代が違いました。当時は石炭、薪ストーブ、七輪などで
調理をしていました。冷蔵庫、冷凍庫の無い時代ですから安かった鯖を
大量に買い、そんな昔ながらの調理器具の上に鍋をかけて時間をかけ、
コトコト煮て作っていたのです。
骨まで柔らかく煮えるくらい時間をかけて作っていたのです。

  そうです、その日に購入してその日に仕入れた鯖を煮て、
その日に出すような時間の掛け方とは全く違っていたのです。
これはとても凄いヒントになりました。時間をかけて、手間暇惜しまず作る・・
まずそれを基本にすることに決めました。

  家庭で圧力鍋を使って鯖のみそ煮を作られる方もいらっしゃいますが、
それは家庭料理として何の問題もありません、骨まで柔らかくできますのでお子様にはいいでしょう。

  しかし、板前の私にとっては、それでは失格なのです。
圧力鍋を使うとどうしても鯖の旨さが鯖から抜けてしまいます。圧力がかかると、
鯖の脂肪分が身から全て出てしまうのです。
  時間をかけて煮ることによって、鯖の身の中の旨みはそのままで骨まで
柔らかい鯖のみそ煮ができるようになりました。
  
  そこにもう一つの問題が出てきました。鯖のみそ煮の甘味料の問題です。
昔は砂糖が高額で贅沢品だったため、チクロ等の甘味料など
今では使用できない人工甘味料を使って鯖のみそ煮を作っていたのです。

  これには困果ててしまいました。どんなに高級な砂糖や味醂を加えて
鯖のみそ煮を作っても昔の母の味には近づかないのです。
確かに上品な甘味にはなるのですが、鯖の臭みが残ってしまいます。

  普通は梅干しと生姜を入れることで鯖のみそ煮の魚臭さを消します。
どんな料理の本を読んでも、どんな料理名人に聞いても、この2つの食材で
「鯖の匂いが消えます」と話すでしょう。しかしそれだけでは不十分なのです。
昔母が作ってくれたあの鯖のみそ煮の味、あれは梅干と生姜では取りきれない
魚臭さまで取り除いてあったのです。

  皮肉なことにあの人工甘味料が、この「魚の生臭さ」まで取り除いてくれていたのでしょう。

鯖のみそ煮 

   私が目指したのは『魚嫌いなお子さんでも、美味しい!!
と骨ごと食べられ、ご飯がモリモリ食べる事が出来る鯖のみそ煮』なのです。
しかし昔使っていた人工甘味料無しでは・・・
どうしても『魚嫌いのお子さんでも』がクリアーできない。梅干と生姜だけでは、
魚嫌いのお子さんには食べてもらえないのです。
  魚好きのお客様には
「こんなに柔らかくて美味しい鯖のみそ煮は初めて食べた」と好評でした。

  その時点で商品化しても、それなりに売れる自信はありました。
でも私の一番のこだわりは、『魚嫌いのお子さんでも・・』と言うところだったのです。

  料理を生業にしていると、当然食べ物に関して色々な相談を受けます。
そしてその相談の多くは「子供が魚嫌いで困る。特に青魚は体にも
脳にもいいので食べさせたいが。どうしても魚臭くて受け付けてくれない。
それに骨があると輪をかけて嫌がる。どうしたらいいだろうか?」と言うものでした・・

  家庭で作る鯖のみそ煮も、市販されている鯖のみそ煮も、
鯖の臭みが僅かに残っています。魚好きの大人はそんな匂いにそそられるのですが、
魚嫌いのお子さんには物凄く抵抗のある味と匂いになってしまうのです。

  どうしたら人工甘味料を使わずに、昔のような魚の臭みの無い鯖のみそ煮を
作ることが出来るのだろうか?それを考える日々が続きました。

  毎日八戸で水揚げされる新鮮な真サバを買ってはコトコト煮て、味を見て、
これは違う・・、お客様には提供しないでまかないに廻す日々がつづきました。
   しかしその内に、諦めの気持ちが強くなり、次第に鯖のみそ煮を作ることが
少なくなり気が付けば5年間全く鯖のみそ煮を作ることから
遠ざかってしまったのです。

鯖のみそ煮の物語
  
  どうしても諦めきれない、しかし出来ない、作れない・・・
この葛藤から遁れるために鯖のみそ煮を作ることを辞めてしまったのです。
  

明日は※ 挫折を乗り越えた あるヒント ・・に>>続く・・・


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